公開インタビュー「魔法サロン」
「魔法サロン」
公開インタビュー 松永千秋(日野病院 精神科医)
~GIDになりたくない子~ 聞き手:水野ひばり
2010年7月31日(土)
14:00スタート
開場 30分前
料金 ¥700
※公開インタビューです。およそ1時間弱を見込んでいます。
※どなたでも参加できます。
※以後、開場はフリースペースとなります、適当にお過ごし下さい。
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「GIDになりたいない子」と「なりたくない子」
わたしが「GIDになりたい子」をブログに投稿したのはおよそ一年前。Lv3掲示板に「GIDになりたんけど…」というスレが立って、それについて書いたものだったけど、もともとの着想はそれよりも1年前、いやもっと前にか、ある関係者らの対談を読んでのことだった。
対談自体はもっともっと前に行われたものだったような気がする。
今となっては、自分が何を読んだのか忘れてしまった。
「先生、もしボクがGIDだったらホルモン打って下さい」なんて子がいる、というのに居合わせた関係者らが驚愕するというもので、それはGIDという言葉が一般化していく中で当事者の意識の変容を端的に表していた。
実はあのとき、わたしは一方でまた別の予感を感じていたのだった。
そのときはとても言葉に出来なかったけど…。
「GIDになりたい子」がいるなら、「なりたくない子」もいるのではないか…。
性別を変更し、性別再割当てのオペを受けるには診断書がいる。だから、みんな性別を変えるために診断書が欲しい、ということになる。
つまりみんな「GIDになりたい」がために精神科に通うのである。
その様相はまさに世間で言う「お受験」だ。「GIDになりたい」と言う子は、そうしたGIDを巡る性別変更の制度、システムの有り様を愚直に体現しているだけなのだ。
一般的に当事者が「GIDを治す」と言うのは、つまり「性別を変えたい(元の、"本当の"性別に戻りたい)」と考えるのと同義だ。
ところが「なりたくない子」の"治す"というのは、必ずしも「性別を変えたい」ということに帰着しない。
それは、自分は性別に違和感があるけど、その「違和を受け入れたい」、というもので、選択肢としては、「性別を変えない」つまり、驚くべきことかもしれないが、「生まれついての性別に適合したいからこそ精神科に通う」という動機もあり得るのである。
これは、いわゆるTG的発想とも違うし、それを嫌ってきた当事者、TS原理主義的な発想からもかけ離れている。
「自分は間違って生まれてしまった」。そのことに対する違和感、絶望感を緩やかに受け入れて生きて行きたいと考える当事者の存在。
こうした当事者の存在は医療現場のアクチュアリティから言って、決して珍しい存在ではなかったのかもしれないが、一般化した当事者のタイプ、当事者を理解する枠組みでは捉えることの出来ない存在だろう。
「なりたい子」が増える一方で、「なりたくない子」もまた顕在化してきたのではないか。
「なりたくない子」が実際、どれだけいるのか判らないけど、今、わたしは、あのとき感じた予感が現実のものになってきたような気がしてならないのである。
特例法施行から6年。
2008年の戸変組は400人を越えるピークを迎え、昨年までの累計は1711人を超えた。
松永千秋氏が外来を開設したのは2008年春。
受診者約100人中、障害と確定したのは30人だという。
もし「世界が100人の当事者」だったら、確定されなかった70人にとって、"性別"とは"当事者"とは、"GID"とは、何だったのだろう…。
"ジェンダーという人格"、"性同一性という多様"。
公開インタビューでは、独自の診療モデルを用いて医療現場に関わる松永千秋氏に"GIDのいま"を語ってもらいます。
「GIDになりたい子」はあれから、GIDになれたのかな?
「GIDになりたくない子」は今後、どう歩んでいくんだろう。
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お問合せ hibari_nnn@yahoo.co.jp
Twitter hibari_to_sora
あの女(ひと)の器 http://hitonoutuwa.wordpress.com/
松永千秋論 http://hitonoutuwa.wordpress.com/2010/05/02/
魔法サロン:GIDのこととか、セクシャリティのこととか、あるいはただの暇つぶしとか。不定期に開催されるサロンです。
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